local materials

山から海へ、いのちの巡りを繋ぐ川。
そこに朝靄が立ちのぼる時、森の木々は、
ゆっくりと心地好さそうに呼吸を深める。
古木の根元に芽吹いた小さな実生の緑も、
遠い未来を描いている。
私たちは、生きている木々の
「いのち」をいただく。
遠くの森から
私の手のひらに視線を移して、
森の木からひとの住み処となって、
過去から未来へ刻む年輪のことを考える。

earth materials

山から里へ、いのちの源の土を運ぶ川。
天水をたたえた土の中には
無数の微細ないのちがひしめく。
土には、それぞれの生い立ちがあり、
主張があり、体温がある。
私たちは、生きている土の「いのち」をいただく。
足元の土を踏みしめながら、遠くを見つめて、
青空の向こうにも曇り空の向こうにも、
昼間でもきらめいている幾千もの星を思う。

handworks & design

木を、はつる。けずる。
きざむ。たてる。くむ。
土を、ほる。ふるう。
こねる。ぬる。みがく。
星の恵みをひとの暮らしにつなぐ、
手の仕事。

十里四方の星空。

わたしたちは、
十里四方に届く目と耳をもっています。

十里四方の中で、
存分に働く手を持っています。

十里は約40キロ。
ひとが1日に歩いて動ける、
先人たちの暮らしの舞台。

地に足つけて豊かに生きてゆくのに、
ほど良い範囲です。

その土地で育った、
八溝杉、椹(さわら)、檜(ひのき)、
桜、栗などの木と、

先人たちが土作りの知恵と
技術を深めてきた窯業の地で、
足元の土を用いて

わたしたちは、
ひとの暮らしの空間をつくっています。

大工としての年数とともに
多くの出会いも重ねてきました。

益子の土を知り尽くした陶芸のひと。

30年、50年先を見て、
山に木を植えるひと。

古木の尊厳を守りながら、
そのいのちを伐るひと。

朽ちそうな家から
古い建具を救うひと。

鉄を使うひと。石を使うひと。
布を使うひと。

そして、わたしたちに
空間づくりを委ねてくれる、
暮らしや生業をつくるひと。

ものづくりの仲間たちと
対話と創造を重ねる中で、

見ようとしないと見えないもの、
聴こうとしないと聞こえないものも、

わたしたちの手に
なじむようになりました。

十里四方の土地の上で、
杉の木肌や葉の葉脈、
土の粒子に目を凝らしながら、

一日の仕事を終えて顔を上げると

わたしたちの上には、
いつも同じように
無限の星空がまたたいている。

見えても見えなくても。
聞こえても聞こえなくても。

ひとの暮らしの住み処も、
この星の生態系のひとつとして、
健やかでありたい。

星居社は、この星の恵みを受け取り
暮らしに繋ぐ、

ものづくりと場づくりの
手仕事集団です。

代表 高田英明